野中郁次郎, 紺野登

なんらかの知識が妥当性の高いモデルを構成してしまった場合、それは発見の手段になると同時に隠蔽の手段にもなりえるわけです。 コンセプトは私たちに観点の変化をもたらします。それは新たな視点を提供するのみならず、物事の本質をつかみ取ることのできるような観点です。私たちが「事実」と呼ぶものは、つきつめれば、経験的世界から切り取られた、現実の一部にすぎません。その際、新たな観点で現実を切り取る、道具の役目を果たすのがコンセプトです。現実を新たなものとして認識することで、新たな価値や行動が展開されていくのです。